ブランドの全てを網羅するフラッグシップショップへ、
ECサイトを一新

ジーンズを中心としたワークウェアをルーツに、トレンドに左右されない長く愛される服作りを追求する「Johnbull(ジョンブル)」。ECサイトのリニューアルによって、売り上げは昨対200%へと成長した。オンライン事業部の舵を取る浅野拓也氏と実際にサイトを運営する太田栞氏に、リニューアルの施策とその成果、ECの在り方、今後の目標と課題についてお聞きました。
Photos:Ayako Masunaga
Text&Edit:Masumi Sasaki

10年後も色褪せない、ワークウェアをルーツにした服作り

——ブランドの立ち上げの経緯、コンセプトは?

1952年に岡山県倉敷市児島で学生服や作業服の製造からスタートし、60年代前半、ファッションを強化すべく日本に上陸したばかりのジーンズを作り始めました。当初は卸売が専門のファクトリーブランドでしたが、よりファッション性や自社の価値観を打ち出していこうと、自分たちの手でお客様に届けるため、十数年前に直営店である「Johnbull Private labo(ジョンブル プライベート ラボ)」を立ち上げました。

——Johnbullのデニムやワークウェアならでは独自性やこだわりは?

Johnbullは、ワークウェアといっても、いわゆる労働者の作業服というよりは、芸術家やクリエイターの作業着としてのジーンズという切り口で、トータルファッションとして多様なアイテムを展開しています。あくまでも物作りのベースはワークウェアにあるので、例えば、ジーンズの縫製で作ったドレスジャケットのようなジーンズを縫える工場でないと作れない服。一見しただけではわからないけれど、ディテールの仕様や耐久性、機能性、着用時の着心地はワークウェアとしても通用する仕上がりです。同時に「どこにもないものだけど、何にでもあう服、10年後も着られる服」を提供することを理想としています。トレンドを追いかけるのではなく、ルールやルーツを重視しながら、その時代時代の新しさのある服、でも普遍性があるもの。それがJohnbullの強みだと思っています。

——普遍性という点で、愛され、作り続けている定番アイテムは?

もちろんジーンズです。中でも独特なのは、流行に関係なく、メンズ、ウィメンズともにオーバーオールやデニムのオールインワンはひたすら作り続けています。それとユーティリティシェルというアウターも10年以上ずっと展開している、ブランドを体現する商品です。アウトドアブランドの本格的なウェアで使うような素材を用い、機能性を備えながら、あくまでもファッション性を重視し、開閉の仕様はジップとボタンになっています。そこにも理由があって、ボタンの方が取れたら自分で付ければいいので、実はアフターケアがしやすいんです。

——他にはどんなレーベルがありますか?それらのコレクションの特徴は?

「makerhood(メーカーフッド)」と「Attic by Johnbull(アティック バイ ジョンブル)」があります。makerhoodは、自分たちの物作りのルーツに立ち返り、本当のユニフォーム、ワークウェアを象徴するレーベルとして立ち上げました。その一つにエプロンがありますが、用途や目的にあったものでないと使いにくい。そこで、カフェスタッフ、靴磨き職人、パン職人の方々に提供するものを作り始めました。すると、「自分たちの制服として使いたい」「ロゴのプリントを入れたい」と他業種の方からの声も上がり、ならばうちでしか作れないものを作ろうということになりました。オリジナルで作るものもありますが、お客様であるブランドやお店の要望に合わせ、これまで20〜30社とのコラボレーションによって製造しています。
Attic by Johnbullは、ウィメンズのみ展開している、アメリカのヴィンテージに特化したレーベルです。メンズでは当たり前ですが、女性に向けて本気でジーンズを追求して作り込んでいるブランドは他にないのではないかと考えました。ヴィンテージに精通したデザイナーが、昔のジップやボタンなどパーツにまでこだわって、縫製から色落ちの加工まで自社工場の職人が手がける、一貫した自社製造という点も特徴です。

会社の旗艦店を目指して、ECサイトをリニューアル

——リニューアル以前のECサイトの課題は?

以前から、ECサイトでの売り上げは、毎年平均135%ぐらい伸びていて、オンライン事業は成長していた部署ではありました。ですが、このまま継続するだけでは伸び止まりが予測できたこともあり、サイトリニューアルなど何らかの新たな施策を打っていかなければ、成長率を維持できない恐れがあると思いました。

——実際に行った取り組みは?

大きくは、EC、ブランド、コーポレートと3つに別れていたサイトを統合することでした。各サイトごとに目的はあったのですが、セッションが分散してしまったり、社員ですらよくわからないということが多々あり、ましてや、お客様に対して、どこを見れば、Johnbullの情報が入るのかが不明瞭でした。以前、EC利用者にアンケートをとった際、店頭で見た商品がECで扱われてない、店頭のポイントがECでは使用できない、といったことが頻出していたことがわかりました。サービスを改善しなければならないと、漠然とリニューアルを考えていたのですが、実際にどう作業すべきかわからないでいました。そこで何度もディスカッションを重ねながら、情報を一つに集約し、お客様がこのサイトを訪れたら、店舗も商品もJohnbullの全てがわかるようにリニューアルしました。

——リニューアルの際に取り入れた具体的な施策は?

複数あるレーベルが対外的に認知され、成長するよう、サイト上で明確に分類し、それぞれのコンテンツやSNSアカウントを立ち上げました。次に店舗とサイトのポイントシステムの統合を図り、さらにはポイントカードをアプリ化し、時代にあったお客様への利便性を重視しました。また、取り扱い商品点数の拡充。店舗ではJohnbull Private laboのみを扱うのに対して、サイトは、Johnbullの全商品を網羅する場所、言わば会社のフラッグシップショップのような場所として機能させ、さらには店舗での未入荷の商品も補完できる状態を目指しました。

——これらの取り組みによる成果は?

これまでJohnbullへの入口は、店舗だけだったのが、SNSやサイトを通じて、レーベルごとにいろんなアプローチで提示することによって、全体像を知るきっかけになり、確実に母数が増えたという実感があります。それに比例して、売り上げもEC化率が、全体の30〜35%を占めるまでになりました。

店舗にしかない「人」の魅力を伝えていくという使命

——ECでの売り上げが昨対200%と右肩上がりの成長に伴い、実店舗との差別化、役割分担をどう考えていますか?

サイトの使命の一つとして、店舗にしかない魅力を伝えていくことがあると思っています。それは何かと言えば、やはり、人、スタッフの存在が大きい。Johnbullの直営店の接客は独特で、お客様とじっくり話しこむんです。話さずに購入いただくことはまずない、と言っていいほど。スタッフの多くは、Johnbullの服が好きで入社しているので、売り上げをあげたいという思いはもちろんありますが、自分が好きなものをお客様にも好きになってもらいたいという気持ちが強いんです。

——スタッフの熱意をサイトで伝えるためには?

スタッフを前面に出す、スナップのコンテンツを作りました。結果的に、サイトを見た時にあの店の人が出てるとか、逆にサイトで知ったお客様が店舗に行った時、あの人見たことがあるとか、知っているスタッフがいることで、親近感を持ってもらい最初の距離を縮めることが理想です。また、日々のブログ更新に加えて、今後は動画も強化しようと思っています。スタッフによる商品の説明動画は、お客様にダイレクトに伝わりやすいですから。実際に、サイトもインスタグラムも、商品だけが写っている写真やかっこいいモデルのルックよりも、スタッフが登場する写真の方がよく見られ、エンゲージが高い傾向があります。スタッフを介することで、ブランドの世界観を体感できる場として、店舗にも足を運んでいただくきっかけになればと考えています。

——サイトの見え方についてはどうですか?

リニューアル後、サイトを一つに統合したことで、情報も多様性が出てきたので、一つのテイストにまとまらない方がいいと考えています。一色に染まりすぎると、興味のある人にとってはいいけれど、それ以外の人にはひっかからない。なので特集記事は、オンライン事業部だけで作成するのではなく、別部署で作成したり、スタッフスナップの隣に子供服やかっこいいイメージビジュアルがあるなど、同じようなコンテンツが並ばないよう心がけ、サイトを訪問した人が、何かに触れ、よくよくは他のレーベルを知ってもらえるよう、間口は広げています。

今後の展開、次なる課題は?

他店舗や他社サイトには在庫があるのに、自社ECでは完売している、お客様が買いたい時に商品がないという状態が起こりがちなので、在庫の効率を向上させることが目下の課題です。売り上げの規模的にもこの先の伸長を見据えるならクリアすべき壁と考えています。サイトが成長するに従って、取り扱い商品が増え、売上規模が増える。それに伴い、商品の発注、登録といった運用面での負担もかなり生じてきています。本来ECは最小労力で最大効果を狙うものだと思うので、裏側を整えて、その分、プラスアルファの新しいサービスなど表側の何かに還元し、よりお客様に満足していただく環境を作れたらいいなと思っています。

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