オムニチャネルを推進し、ブランディングとの相乗効果を目指す

デニムを中心に、アパレルからアクセサリーまで幅広く展開する、グローバル・ライフスタイル・ブランド「GUESS(ゲス)」。1981年にLAでスタートし、2014年に日本へ本格上陸。そして2019年には自社ECを新たに立ち上げた。本国のブランドイメージをいかにユーザーに伝えていくか、今後の施策と展開について、EC業務を管轄する遠山氏と中村氏にお話をうかがいました。
Photos:Ayako Masunaga
Edit & Text:Masumi Sasaki

GUESS本来のブランドイメージを伝えるために

——GUESSといえば、キャッチーなロゴが印象的ですが、まずブランドについて教えてください。

1981年、フランス人のマルシアーノ兄弟がアメリカLAを拠点に、GUESSをスタートさせました。デニムに始まり、今ではウィメンズ、メンズ、キッズのアパレルからアクセサリーラインまでのトータルコレクションを世界中で展開する、グローバル・ライフスタイル・ブランドへと成長しました。中でもデニムは、創業時からブランドを代表するスキニーシルエットをはじめ、その時代のトレンドを取り入れたものなど、シンボリックなアイテムを展開しています。特に、シグネチャーであるマリリン・ジーンズは、ヨーロピアン・スタイルと伝統的なアメリカン・ファブリックを融合させたもので、最初に作った24本は販売と同時に即完売したという逸話が残っています。また、ファッション業界のトップクリエイターが手がけたキャンペーンビジュアルは話題を呼び、GUESSの名前が世界中に広まるきっかけとなりました。

——グローバル展開する上で、ブランドとして打ち出す女性像やイメージは?

本国のコアターゲットである「GUESSガール(GUESSの広告モデル)」のイメージは、セクシーでラグジュアリー。年齢によって3世代にカテゴライズしているのですが、メインは38〜40代のHERITAGE(ヘリテージ)世代、続いて24〜37歳までのMILLENNIALS(ミレニアルズ)世代に、10代〜23歳までのGEN-Z(ジェンジー)世代。そしてメインで展開しているのは、デニムを中心にドレスやオフショルダーのトップスといったアイテムです。

——本国アメリカと日本では、客層やマーケットに違いがありそうですね。

日本では、ECに関しては圧倒的にGEN-Z世代が強く、ロゴの入ったニット、スウェット、Tシャツなど、カジュアルなアイテムが売れ筋です。ブランドのDNAであるデニムラインを強化したいという想いはありますが、US商品はスキニーシルエットが多く、日本のニーズと必ずしもマッチしてはいないので、日本のマーケットやトレンドを意識した、また日本人の体型に合わせた日本企画商品やアーティストとのコラボレーションなどの限定商品も展開しています。本国が推したいブランドイメージを自社ECやアプリを通して発信しつつ、日本のマーケットにどうローカライズしていくかが課題です。

ECサイト開設への経緯と売上アップの転機

——ECサイト立ち上げにあたり、Fulfillment by ZOZOを選んだ理由は?

もともとZOZOTOWNなどモール系にしか出店していなかったこともあり、自社ECの立ち上げが早急な課題となっていました。数社比較検討した上で、Fulfillment by ZOZO(以下FBZ)を選んだ一番の決め手は、他社では実現できないZOZOと自社ECの在庫一元化ができることでした。また他社よりも、イニシャルコストやコンサル・物流管理・カスタマーサポートなどのランニングコストも抑えることができ、約半年間という短期間でオープンできたスピード感もポイントとしては大きかったです。

——ECを立ち上げて約1年、手応えは?

最初の半年間、2019年10月くらいまでは正直伸び悩んでいました。もともとあったサイトを移行するのではなく全くの新規開設だったこと、SNSも本国との共通アカウントということもあり、情報発信の手段には制限があったため、お客様を獲得するのに難航しました。

——そんな中、2019年10月以降、売り上げが伸びたきっかけは?

ひとつは2019年8月にアプリをリニューアルしたことが挙げられます。これまで実店舗だけで稼働していたアプリを一新し、実店舗とサイトが連動するよう会員情報を一元化しました。それによって顧客データの獲得に繋がったことが要因です。もうひとつは、WEB広告やマーケティングのデータが蓄積されてきたことです。FBZ担当者との半年間の取り組みが機能し、最適化してきたと実感しています。

日本マーケットでファンを獲得するための次なる施策

——ZOZOTOWNなどのモールと自社ECの住み分けは?

ZOZOTOWNをはじめ各モールでは、その集客力・販売力を活かし、GUESSの商品を多くのお客様に知っていただく。一方、自社ECでは、ブランドの世界観や魅力を様々な視点からお伝えし感じてもらい、ロイヤルカスタマーになっていただくことが第一の目的です。実際にモールに比べ、自社サイトの客単価は高いので、アウターやハイエンドなライン、コラボレーションコレクションなどを前面に出して、しっかりブランドをアピールすることで、ファンを増やしていければ、もっと売上にも繋がるのではないかと思っています。

——日本でのマーケット拡大に向けてどんな工夫を?

自社サイトでは、基本的には本国と共通のモデル画像を使用しているのですが、やはり女性像に違いがあるので、日本でも別途外国人モデルを起用した撮影を増やしていく予定です。さらに、反応を見ながらハーフや日本人でも外人体型のモデルの起用など施策を行っている段階です。またオンラインモールでは展開していないハイエンドラインのMARCIANO(マルシアーノ)や実店舗で扱いのある商品もフルラインナップを見られる環境に整えていきたいと考えています。

——では、実店舗とECのそれぞれの役割は?

実店舗は現在26店舗あります。ブランドにとってもちろんECは重要ですが、やはり洋服というものは、実際に手にとって、試着するという行為も外せないと思っています。ECを入り口に店舗でも購入してもらい、あるいは逆に店舗に入りづらいという方には、ECで買っていただくなど、相互補完関係を築いていきたいと思います。

——これからのECの展開や目標は?

モール、EC、実店舗と、オムニチャネル化を推し進め、会員情報一元化などで様々なデータを可視化できたので、今後の取り組みや新しいサービスに活かし、EC化率を伸ばしていきたいです。機能面も改善や追加を実施し、お客様の多様なニーズにお応えできるように、またお客様がストレスなく満足してお買い物ができる環境を提供できればと思っています。今後はSNSなども導入・連携させて、よりブランドの世界観や魅力を伝えていきたいと考えています。

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